

いきなりですが、ピーターとほかのヒーローのいちばんの違いって、何でしょうね。
そもそも彼が犯罪と戦う道を選んだきっかけは、自分の家族がその犠牲者になったことでした。この設定自体は、それほど珍しいものではありません。マーヴル・ユニバースでは、デアデヴィルことマット・マードックや、パニッシャーことフランク・キャッスルが同じような過去を持っています。
しかし、この2人とピーターには、決定的な違いがあります。マットやフランクが家族を奪われたとき、彼らはそれを止めることができる立場にいませんでした。愛する人を失うのは辛い出来事だったに違いありませんが、この2人はまだ、やり場のない怒りをよそへ向けることができます。ところがピーターは、のちに叔父を撃つことになる強盗を軽い気持ちで見逃すという、(彼にとっての)過ちを犯していました。彼はこの後悔の念から逃れることができません。救いのないことです。
さて、この「ウェブスピナーズ #10-12」では、カメレオンという古いヴィランが登場します。彼はピーターになりすまし、その妻、メリー・ジェーンを誘拐します。そしてカメレオンは、ピーターをブルックリン・ブリッジに呼び出すのです。この橋は、かつてピーターが、当時の恋人、グェン・ステーシーを失った場所でした……。
実は誘拐事件そのものは簡単に解決してしまうのですが、問題はそのあとにやってきます。詳しくは書きませんが、僕はマンガ(日本もの、アメリカものを問わず)を読んでいて、これほど悲痛な気持ちになったことはありません。ラストのある人物が訪れるシーンは、いま読み返しても、ジーンとしてしまいます。いい作品です。
おすすめ度
★★★★★(5/5)
ピーター・パーカー/スパイダーマン
このお話のころは、ピーターは短期間の引退のあと、ヒーロー活動に復帰したばかり。メリー・ジェーンの仕事が忙しいこともあり、夫婦はすれ違い気味。また、このころメリー・ジェーンは正体不明のストーカーにつきまとわれていた。
カメレオン
他人になりすます能力を持つ男。かつては共産圏のスパイとして活動していた。スパイダーマンが初めて相手にしたヴィランでもある。犯罪稼業からは半ば引退しており、この物語の冒頭では、レジャーランドの道化師として生計を立てていた。
スクリプト
Paul Jenkins[ポール・ジェンキンス]
ペンシル
Sean Phillips[ショーン・フィリピス](#10-11)
J.G. Jones[J.G.ジョーンズ](#12)
インク
Sean Phillips[ショーン・フィリピス](#10-11)
Jimmy Palmiotti[ジミー・パルミオッティ](#12)